■ 今月のちょっといい本
「豚の死なない日 A Day No Pigs Would Die」
著者:ロバート・ニュートン・ペッグ Robert Newton Peck
訳:金原瑞人
発行:白水Uブックス
定価:800円+消費税 ISBN4-560-07132-2  C0297
J,D,サリンジャーからスーザン・ヒントンに続く、現代アメリカ文学の系譜に、簡明で力強いストーリーテラーが加わりました。勤労と魂の充足に誇りを抱き、貧困の中、誠実に生きた文盲の父と家族の姿を描いています。おそらくニュートン・ペッグの生立ちから取材した実話と思われます。デリバティブ取引やニューエコノミーなどとは無縁の世界にある、誇り高いシェーカー教徒の家族像は、今日のアメリカが失っている家族精度の原点を彷彿とさせる。哀切に満ちた古きアメリカが崩壊していく姿を描く、第2部を予感させつつ、結核のために病死した父親の替わりに、13歳の少年が家長の替わりを務めなければならない姿を淡々と活写して、第一部は終わります。 続編である第ニ部も出版されていますが、第一部とややトーンが変わります。










「ぼくが読んだ面白い本・駄目な本 そして ぼくの大量読書術・脅威の速読術」
著者:立花隆
発行:文芸春秋
定価:¥1,714E ISBN-16-357310-0 COO95
本という媒体に未来はあるのでしょうか?不器用で、非効率的で不自由な『本』は、ただの懐古趣味の対象に矮小化してしまうのでしょうか。電子媒体が益々隆盛を極める昨今、かえって紙と糊とインクでできた、この本という前時代的な媒体の持つ、居心地の良い魅力が再発見できたように思えます。

コンテンポラリーな資料収集には、何を読めば良いのか? あくまで情報収集の手段としての本について総覧的に追及するのが本書。 田中角栄のロッキード事件を暴き、『脳死』や『臨死体験』でも、緻密な取材力を印象づけた、かの立花隆の実戦的な本のカタログ。有用性は極めて高く、その本を読まなくても読んだような気にさせてくれます。晴れた日の昼休みには本屋へ行きましょう。