| Weekly Objection(更新日:2006/04/13) | |
| --- 全面的な敗北 --- | |
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2006年度改定内容の詳細が詳らかになるにつれて、その内容は保険基金の意向そのものの反映であることが明らかになっています。例の日歯不祥事を口実にして、歯科診療サイドの発言権はまったく封殺されてしまいました。 間接選挙であったとは言え、元を糺せば、問題のあった日歯執行部を選んだのは個々の会員のわけですから、開業歯科医師の大半に倫理上の原責任があるだろうと言われるかもしれません。しかしメンテナンスにおける特掲診療料以外の給付が認められなくなった結果、事実上メンテナンス制度そのものが成り立たなくなったことは、歯科医師が減収減益になるというだけでなく、国民に対して申し開きのできない歯科医療の後退と言っていいでしょう。周知のように、従来はメンテナンスに入ってから6ヶ月経過すれば、新たに惹起した歯周病関連以外の歯科疾患に対しては治療対応することが許されていましたが、2006年改定からは他の歯科疾患に対する治療全体が給付されなくなりました。 このことは何を意味するのでしょうか?メンテナンス中に患者さんの口腔に起きうるすべての歯科疾患に対して一切医療機関が責任を負わなければならないわけです。例えば、糖尿病患者が降圧剤の影響で口腔乾燥症傾向が現れ、う蝕が多発してもその責めは歯科医院が負わなければならないのです。癌や重篤な内科的疾患が原因でストレスが過剰に加わり、その結果ブラキシズムが亢進し、歯根が破折しても、無料で歯科医療機関が外科処置、補綴処置を行わなければならないわけです。極端な話、メンテナンス期間中に患者さんが旅行先のホテルで義歯を紛失しても、私たちはだまって義歯を新製しなくてはならないのです。リウマチのような進行性の基礎疾患を有する患者さんでは、顎関節の炎症性破壊の進行とともに急速に顎位が変化していきますが、このような場合でも歯科医療機関が無限に治療費を負担しなくてはならないのでしょうか?もともと学校給食費のような保険給付のぎりぎりの医療原資の中で、経営努力を重ねながら、良質な医療の確保に身命を賭して働いている私たちに、世間一般の商取引の慣行から考えても到底考えられない不当な義務を負わせる今回の改定がはたして実際に運用できるものなのでしょうか?医科において、糖尿病などの慢性疾患を管理している最中に、例えば別の疾患、例えば悪性腫瘍などが発見されたら、その治療費を医療機関が負担しなくてはならないと考える人はいないでしょう。自動車でさえ、定期検査時に発見される損耗した部品はユーザーが負担するのがあたりまえではありませんか?然るにその自動車会社の保険基金は歯科に対しては、メンテナンス中の一切の新たな歯科疾患の給付を認めないわけです。 私たちの扱っている生体は、自動車より何千倍も不確定要素の影響を受ける、人間という複雑系であり、状況により揺れ動く社会的存在でもあります。歯科臨床に携わる者と、歯科医療保険に精通していても臨床の外縁に居る者との違いは、歯科医療の対象が人間であるということをよく理解しているかどうかという一点にあります。歯科医療をむし歯の穴を詰めるだけの道路工事と同じイメージでしか捉えられない人達に、歯科疾患の病因??鋸???????????????????【?伐?????????????????????????????????鞜??y??????????????????弐?????局?子?????????嚠?喰?哀???勠?凰?儀?????渠??????????????????????????ュ?x?D?ヘ????????????????を、トータルな統合的存在としての人間に求める私たち臨床医の姿勢を理解することはできません。ありふれた症状の陰にも、必ず生活習慣や基礎疾患、歯並び、骨格と姿勢の歪み、習癖、職業、性別、年齢、それまでの治療履歴、パーソナリティー、ストレス、患者さんの医療や健康に対する考え方などの問題が潜んでいることを私たちは知っています。最善を尽くして診断し、最良の治療計画を立案し、良心に基づいて高度な注意を払って治療しても、予期せぬ再発や新たな歯科疾患の発症をゼロにすることは原理的に不可能なことも知っています。患者さんの身体はテレビやトースターではありません。メンテナンス中の再発や発症は、個々の患者さんのおかれている条件に大きく依存しているために、その責任をすべて歯科医療機関に負わせるのはあまりにも過酷で不当です。製造物責任法(PL法)が適用されるテレビやトースターと人間の体とは本質的に異なるものです。 仮に百歩譲って、メンテナンス中の無限責任を謳うならば、それにふさわしい医療原資を給付すべきです。しかるにメンテナンスに関する給付は削減する一方で、義務だけは強化するのでは現実の医療として成立しません。直近の10年間、厚労省は歯周病のメンテナンスを推進し、私たち医療機関は懸命にメンテナンスを国民に定着させるために努力を重ねて参りました。今回の改定はまさに掛けた梯子を外す、無責任極まりない暴挙であると言えます。 実際の治療行為には不要で邪魔な交付文書の山が本当に国民を幸せにするのでしょうか?黙って保険給付から外された歯牙漂白は明らかな医療の後退ではないですか?2回目のSRPの給付がなくなりましたが、重篤な歯周病はそれで治りますか?すべての患者さんが歯周外科手術をできるわけではありません。プラークコントロールチャートのコピーを患者さんに渡すにしても、口腔内写真のプリントアウトをカルテに貼りつけるにしても、明細書つき領収書を発行するにしても、皆、多大な経費とマンパワーが必要な措置ばかりです。与えるものも与えずに、一方的に歯科医院だけに責任と経費負担を強制する今回の改定のやり口を見るにつけ、行政という権力者の横暴さと傲岸さを改めて感じます。 日本の歯科医療史を振り返ったときに、角を矯めて牛を殺す愚挙の始まった年、行政が歯科医療に対し死亡宣告を出した年として記憶される2006年度改定です。 |
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